■Scene.01. ユンという名の少年■
【 神託 】
マブ神の声が、響き渡る…。

…過去の見えざる存在
…混沌の黒い翼
…闇よ
…使者をかの地へ
…新たな魔を
…混沌の…
…混沌の……

(なんの事であろう?)

いぶかしみながらも、マブ神祭を執り行うと流布するイーゴ。

…神託からほどなくして、オリアクスが一人の少年をムトゥームへと連れ帰った。

「なるほどな…」
イーゴは視線を下げ、静かにほくそえんだ。

【 少年 】
目を開くと、緑の樹海が広がっていた。

(ここはドコだろう?)

少年はゆっくりと立ち上がり、辺りを見回す。

(――行かなくちゃ)

頭はそう急かすのに、どこへ行くべきだったのかを思い出せず、少年は困惑する。

(僕は…誰?
ここは…ドコ?
何を…していたの?)

思い悩む少年の背後で、腹を空かせたオルヴァンが息を忍ばせていた。

【 独りと独り 】
(新月の晩であれば、たまには散歩も悪くない)

墓地を抜け、アルビーズの森へとやってきたオリアクスは、自分がイーゴに拾われたのもこの森だった事を思い出す。
世の中の一切合切が面白くもなんともなく、手当たり次第に突っかかっていたあの頃――。

――と。

オリアクスは、次第に高まっていく何者かの息遣いを耳にし、周囲を見回した。
前方には、ぺたりと座り込んだ少年と、獲物を狙うオルヴァンの瞳……。

(――短い生涯だったな、坊主……)

口中でつぶやき、踵を返すオリアクス。

……だが、どうも気にかかる。

(ここで会ったのも、マブ神の導きかも知れん)

そう思い直した彼は、いつでも魔法を放てるよう精神を集中させ、少年へと歩み寄る。
オルヴァンは、彼の気に怖気づき、ゆっくりとその場から立ち去った。

少年の前にしゃがみこんだオリアクスは、

どこから来た?

とも、

両親は?

とも聞かなかった。

ただ一言だけ

「来るか?」

と問うた。

黙って手を差し出す少年。
これが、全ての始まりだった。

【 ユン 】
少年は、記憶をもたなかった。
名も、もたなかった。

オリアクスは彼をムトゥームへ連れ帰り、「ユン」と名付けた。
そして、マブ教の歴史やイーゴのことを語って聞かせる。

ユンはそれらの知識を次々と吸収し、次第にオリアクスになついていった。

(闇の道へ……引きずり込んでやるか)

オリアクスは密かに口角をあげる。

最初はオリアクスの傍でじっとその仕事振りを見ていたユンだったが、記憶は一向に戻らない。
その事実は、日を追うごとに少年の中で大きな不安へと姿を変えていった。

(行かなくちゃ……でも、ドコへ?)

(お外で色んなものを見たら…何か思い出せるかな?)

ユンはオリアクスの目を盗み、ムトゥーム地下墓地の外へと足を踏み出した。

今日もマブについて語ってやろうと、ギルドの仕事の合間にユンを呼びつけるオリアクス。
しかし、彼の姿はどこにもない。

(あんの坊主…。せっかく助けてやったってのに、勝手に死なれては困るぞ)

――オリアクスはユンを連れ戻すため、方々へと指示を飛ばした。

■この時進行していたイベント内容■

【 ユンを探せ! 】
オリアクスがアルビーズの森で発見し、ムトゥームへと連れてきた少年――ユン。
記憶を失くしているユンは、その断片を探すために、ムトゥームをたびたび抜け出します。

彼がムトゥームを離れると、オリアクスから皆さんへ「ユンを探して欲しい」というお願いがなされます。
あなたは、各地を転々とするユンを見つけることができるでしょうか……?

・ オリアクスのアナウンスが流れたら、各地に現れるユンを探します。
・ ユンを見つけたら、【ユン】と【見つけた】という言葉を、【ユンの目の前(Say)】で伝えてください。