■Scene.01 「魔を穿つ聖槍」■

【 プロローグ 】

――静寂(しじま)。

その静寂を、無造作に上塗りするように、ひとすじのノイズ。
耳鳴り…? 音…? 声…?
唸りとも、悲鳴ともつかないそれは、静かに、しかし重く、生きるものの耳を乱した。

ひとすじ、またひとすじ…。

「うぅ…」
「あぁ…ぅぅ…」

…人? …人の声?

そう、それは確かに“生きもの”の発する“声”であった。

その“声”の主は、重い足取りでふらふらと、何処か行くあてがあるでもなく、ただただ辺りをふらふらと彷徨っていた。

黒く重い影を背負い、その“声”の主はただただ彷徨い続けていた。

【 囚われの聖女 】

■イーゴ : さあ、もう逃げ場はない…その、「時の石」を渡してもらおうか。
それさえあれば、バハと一体になったこの肉体から、ようやく解放される…。
■ルーチェ : 絶対に渡す訳には参りません!
ユンの、そして多くの人々の願いを、無駄にする訳にはいかないのです!
■イーゴ : 時の彼方で何があったのか知らぬが、今の私には関係のないことだ。
お前がカオスの時代で出会ったのは、カオスに渡った「未来」の私…。
今の私ではない…。
*
■イーゴ : ううっ……今この時も、私の精神が崩れて行くのを感じる…。
もう、時間が無いのだよ…。
■ルーチェ : あなたはすでに、狂っています!
地上のすべてを滅ぼしてもなお、飽き足らないというのですか…。
そのおぞましい姿は、あなたの醜い野心そのものです!
■イーゴ : 何とでも言うが良い。
すべては、カオスゲートを開くため…。
それがかなった今、私はカオスエイジへと渡らねばならんのだ。
新たな肉体を手に入れてな…。
*
■イーゴ : さあ、石を渡すのだ。
あのホムンクルスは逃がしたが、お前を逃がす訳にはいかん・・・。
■ルーチェ : なりません!
■イーゴ : あまり手間をとらせるな!
小ざかしい、小娘が!
*
悲鳴が夜を切り裂いた。
聞くものもない、おぞましき世界の果てで、ただ一度きりの悲鳴が、黒き闇を切り裂いた。

…そして、静寂。
何事もなかったかのように、辺りは静寂を取り戻していた。
黒き闇に、深い赤がねっとりと染み込んでいることを除いては…。

【 神託 】

■ミスト : 親愛なる信徒の皆様…私の声が聞こえますか?
私はラル・ファク教の大神官、ミストです。

たった今、私の心にラル・ファク神のご神託が下されました。
我がラル・ファク教の敬虔な信徒であるルーチェが、悪しき者の手により、とらわれの身となっているようです。
遠い未来の地、「浮遊都市バハ」と呼ばれる場所で…。
*

世界でただ一人、大神官ミストだけがルーチェの危機を察知していた。

…ルーチェ…。
そう呟くと彼女は、堅く封に閉ざされた一冊の古文書を手に取った。

――ラル・ファク教に受け継がれし古代の秘術。その秘術を蘇らせること以外、悪しき魔の手を払拭することはできない。

ミストは静かに目を伏せた。
時間にして、ほんの6〜8秒であろうか。
真っ白い帽子の鍔が揺れた。
その刹那、両の瞼はすっと開かれた。

■ミスト : ご神託によれば、強大な闇の力が影響を及ぼしているようです…。
この闇を打ち破るには、我々ラル・ファク教の高位神官にのみ受け継がれし、秘術の力を使うしか無いのかもしれません。
秘術の記されし古文書にかけられた封印は、高位神官にのみ解くことができるとされております。

封印を解き、古文書を読み解くまでの間、今しばらくのお時間をいただけるでしょうか。
ラル・ファク神よ…貴方の子をお守り下さい…。

【 魔を穿つ聖槍 】

■ミスト : 先ほど、フューチャーエイジに向かった我らの信徒からの報告が入りました。
ルーチェは「浮遊都市バハ」にて、巨大な触手に囚われているようです。
彼女は自らの周囲に結界を作り出し、何とか身を守っているようですが…。
そう長くは持たないでしょう。
*
ミストは自問していた――。

“彼らに託して良いものか…?”

下手をすると世界を破滅させてしまいかねない古の秘術。
その秘術を発動させるのは自分自身だとしても、その法具の作成を冒険者達の手に委ねるということは、
即ちラル・ファクの信徒を始めとする冒険者達をも危険にさらすことになりはしまいか?
そもそも、そんな危険を冒してまで彼らは手を貸してくれるのだろうか?

ミストは改めて思い起こす。

――ユンを救い出そうと、必死で魔に抗い続け、討ち果たした冒険者達の後姿。
――ルーチェがこの地を去ると告げ旅立った時の、冒険者達の悲しげな瞳。

それらは、ミストにそれを決意させるに十分足りえる理由であった。
*
■ミスト : そして、先ほどお話した、彼女を救うための「秘術」が、ようやく明らかになりました。

古の時代に封じられた秘術…。
【 セイクリッド・ブラスト 】を行使するしか、彼女を救い出す手段は無いようです。

どんな邪悪な存在をも、一瞬で無に帰す力を秘めた、聖なる槍。
それが、セイクリッド・ブラストです。

その想像を絶する威力ゆえに、封印された神の兵器…。
一説によれば、はるか昔に栄えていた古代モラ族の文明は、この兵器によって滅びたとも言われています。

ここで、信徒の皆様…。
いえ、力を貸しても良いと思ってくださるすべての方に、お願いがあります。
聖なる槍を射るためには、その発射装置となる法具【 セイクリッド・キャノン 】が二台必要になります。
それを、共に作っていただきたいのです。

今この時も、ルーチェを守る結界は、徐々に弱まっています。
セイクリッド・キャノンを作る手助けを、皆様にお願いしたいのです!
*

すでに迷いはなかった。
すべてをラル・ファクの信徒を始めとする冒険者達の手に委ねよう。
この者達ならば、きっとルーチェを救い出すことができる。

…残された時間は少ない。

■この時侵攻していたイベント内容■

・06.15 18:20〜
現在、ダイアロス各地でオリアクスの姿が目撃されています。
一体彼の身に何が起きたのか。そして今、何を思い、どこへ行くのか。
もし彼に出会ったら、ぜひ話を聞いてみてください。

・06.15 20:40〜
ラル・ファク教の大神官 ミストより、「ルーチェをとらえている闇の力を打ち破るため、
封印された神の兵器の作成に協力してほしい」と依頼がありました。
それを設置する土台には、魔力を効率的に蓄えるための【 マナ・ロック 】が必要となります。
浮遊都市バハにあるという【 マナ・ロック 】を探しだし、採掘のスキルを使い、それが土台となるようならしてください。

・06.15 21:00〜
聖なる槍の発射装置となる「セイクリッド・キャノン」を完成させるには、2つの素材が必要となります。

・【パーツ1】セイクリッド・ピース 〜キャノンを形作る、外殻パーツ〜
材料 : シルバー インゴット×2 / アイアン インゴット×2 / 樹脂×1 / ガラス石×1 / 動物の生皮×3
必要スキルと値 : 鍛冶 / 木工 / 裁縫 / 装飾細工 (いずれかが40以上)
作成テクニック : 鍛冶 / 大工(切る) / 洋裁 / 装飾合成

・【パーツ2】ノア・フュエル 〜マナ・エネルギーを吸収・増幅する、聖なる水〜
材料 : ノア パウダー×3 / サモンス ウォーター×3 / 玄米×2 / 魚の浮き袋×1 / 光るマッシュルーム×1
必要スキルと値 : 料理 / 醸造 / 薬調合/ 複製 (いずれかが40以上)
作成テクニック : 料理(切る) / 醸造 / 薬調合 / 彫刻

・ 出来上がったパーツ2種類を1セットにして、バハに設置されている【パーツ納品 BOX】へトレードしてください。
・ 納品されたパーツが一定数を越えるごとに、セイクリッド・キャノンが完成に近付いてゆきます。

※ 他のサーバーよりも早く完成させると、今後の展開に好影響を及ぼす可能性があります。

・06.16 01:00〜
皆様のご協力により、莫大な材料を必要とした【 セイクリッド・キャノン 】は、無事に2基を完成させることができました。
現在は【 セイクリッド・キャノン 】の最終調整に入っております。