■Scene.03 「オリアクスの帰還」■
【 撃退 】

傷ついた身体を引きずりながらも、果敢に魔物に切りかかる者――。
自身を危険にさらしながらも、必死で同胞の回復に専念する者――。
ありったけの精神を集中し、倒れた者の魂に生気を吹き込む者――。

冒険者達はあらん限りの力を振り絞った。

そして、遂には魔物たちの撃退に成功した。
■イーゴ : ぐ…うぅ…どうやら…力を使いすぎたようだな。
楽しみは後に取っておく事にしよう…クックック…
■ミスト : どうやら、悪しき気は退いたようです…皆様、よく持ちこたえてくれました。

私も既に精神統一を済ませましたので、キャノンにマナが溜まりさえすれば、
【 セイクリッド・ブラスト 】をいつでも行使することが可能となるでしょう。

しかし、イーゴの事…おとなしく行使させてくれるとは思えません。
皆様、どうかキャノンにマナが蓄えられるまでの時間に、英気を養ってください。

しばしの静寂が訪れた。
冒険者達はそれぞれの地で、短い休息に入った――。

【 聖槍 】

――時は満ちた。

秘術を行使するためのマナが満ちたのだ。
ミストは愛用の白いローブと帽子を身にまとうと、大聖堂を後にした。

“目指すはバハ!”

■ミスト : 親愛なる信徒の皆様…私の声が聞こえますか?
私はラル・ファク教の大神官、ミストです。

どうやら、秘術【 セイクリッド・ブラスト 】を行使するためのマナが、キャノンを満たしたようです。
セイクリッド・ブラストは、ラル・ファク教の大神官である、この私にしか行使することができません。

今より、私の魔力を引きがねとし、キャノンを起動いたします。
■イーゴ : クックック…我が力に、これほどまでに抗うとは、お前たちを見くびっていたようだ。
おまけに、ラル・ファクの大神官までが、ここまでやって来るとは…。
ならば、遊びの最後に、とっておきの「ゲスト」たちで、相手をしてやろう。

──開け…混沌の門よ。
来たれ…夜を喰らう者よ…闇を這う魔獣よ!

カオスより召喚せし、闇の魔獣…。
いままでのお遊びと一緒にせぬことだな…クックック…

ふたたびその姿を現したイーゴは、魔物を放った。

更に力を増した、闇の魔物を――。

■ミスト : これは…なんと恐ろしい魔力…!
イーゴは、ケタ違いの力を秘めた魔物を、カオスゲートより呼び出したようです。

新たに現れた魔物たちの魔力が強すぎて、このままではセイクリッド・ブラストを行使することができません。
一人でも多く雪原に向かい、侵攻してくる魔物たちを、一刻も早く、せん滅するのです!

冒険者達は立ち上がった。
剣を抜き、槍を掲げ、拳を握り、呪文を唱えた。

…これが、最後の戦いだ。
冒険者達は持てる力の限りを尽くし、魔物達に立ち向かった。

次々と滅してゆく魔物達。
そして、この地からすべての魔物が一掃されたその時…。
■ミスト : 今です…!

──ラル・ファク神よ…その偉大なるお力を聖なる槍とし、神敵を浄化せんことを…。
セイクリッド・ブラスト…!!

魔を穿つ聖槍が火を吹いた。
槍は一直線の軌跡を描き、ルーチェを捕らえるそのおぞましき触手に突き刺さった。

■イーゴ : うぐっ! …こしゃくな虫ケラどもめ!
だが、その程度では、我が束縛を破壊することなどできはせぬぞ。
その悪あがき、どこまで続くかな…クックック…。

開け…混沌の門よ。
来たれ…夜を喰らう者よ…闇を這う魔獣よ!

より強力な魔物達が、冒険者達に襲いかかる。

…だが――。
――倒れるわけにはいかない。

“ルーチェを救え!”

それだけを、ただそれだけを信念に、冒険者達は剣を振るい、呪文を唱えた。

■イーゴ : クックック…古代の秘術とやらの威力は、そんなものか?
その程度では、我が束縛を破る事など到底不可能というものよ…!
■ミスト : 新たに現れた魔物たちは、強力な邪気を発しています。
このままでは、セイクリッド・ブラスト行使の妨げとなってしまいます…。
1体でも多くの魔物を倒してください!
■イーゴ : 貴様らの力など、このイーゴには届きはせぬ!
そろそろ諦めるのだな…!
■ミスト : 諦めてはなりません!
…強力な魔物が倒れると、一時的ではありますが、邪気の減少を感じます。
その機にセイクリッド・ブラストを行使します…!
■イーゴ : まだ、抵抗する気か!
「時の石」の力は我が大願成就のため無くてはならぬもの…。
虫ケラどもになど、勿体ないわ!
■ミスト : もう少しです!
もう少しでルーチェを救う事ができます…!
秘術の発動を妨げている魔物を、1体でも多く打ち倒すのです!
■イーゴ : おのれ…!
この「時の石」は…貴様らなどに渡しはせぬ…!

──開け…混沌の門よ。
来たれ…夜を喰らう者よ…闇を這う魔獣よ!
■ミスト : ──ラル・ファク神よ…その偉大なるお力を聖なる槍とし、神敵を浄化せんことを…。
セイクリッド・ブラスト…!!

イーゴは標的を法具に集中すべく、魔物達に命を下した。
魔物達の手によって、法具は少しずつ削られてゆく。

■ミスト : 皆様、大変です…!
セイクリッド・キャノンが悪しき者達の手により攻撃を受けています!
もしセイクリッド・キャノンが破壊されてしまえば、ルーチェを救うことなど出来なくなってしまうでしょう。
何としても、キャノンを守るのです!
■イーゴ : クックック…聖なる法具だと……?笑止な!
跡形もなく破壊してくれるわ!!

ボロボロの身体で冒険者達は魔物の前に立ちはだかる。

たとえ命が果てようとも、法具を破壊させるわけにはいかない!
守るべきものを背負い、冒険者達は戦い続けた。

■ミスト : これで…最後です…!

──ラル・ファク神よ…その偉大なるお力を聖なる槍とし、神敵を浄化せんことを…。
セイクリッド・ブラスト…!!

――閃光。

ルーチェを捕らえていたその巨大な触手は、古の秘術の前に崩れ落ちた。

一瞬の静寂。

そして、

湧き上がる歓声。

■イーゴ : よもや、我が束縛を破るとは…虫ケラどもよ。面白い余興だったぞ。
礼代わりに、今回は引いてやろう。
だだが、我が力、この程度とは思わぬことだ…クックック…。
■ミスト : 皆様…悪しき気配は、退いたようです。

これは…法具【 セイクリッド・キャノン 】も、その役目を終えたようですね。
どうやら、現代の素材では、完全には古の兵器を蘇らせる事はできていなかったようです。
秘術を行使するたびに、キャノンにも無理が生じていたのでしょう…。

冒険者達が歓喜する中、ミストは静かに歩を進めた。

【 オリアクスの帰還 】

■ルーチェ : うっ…んっ…
■ミスト : ルーチェ…!
気が付きましたか!?
■ルーチェ : ミ…ミスト様…!
なぜ、ミスト様がここに…?

そして、このたくさんの人々は…。

■ミスト : どうやら、囚われてからの記憶が、途絶えているようですね。
ここにいる皆様の尽力で、あなたは助け出されたのですよ…。
■ルーチェ : 私…大変なご迷惑をお掛けしてしまったようですわね。
皆様、本当にありがとうございました。

…今も「時の石」は、この手の中で、輝いております。
早く、彼を……。

ルーチェの言葉が終わりきらないうちに、一人の男が声を発した。
■オリアクス : ここは…見覚えが……ある…。
■ルーチェ : その声は…オリアクス!?
なぜ戻って来てしまったのですか!
■オリアクス : 呼ばれているような…気が…した……。
■ルーチェ : あなたが戻ったことを察知すれば、イーゴが再び襲ってくる可能性も考えられるのですよ!?
…もう、一刻の猶予もありません。
ここで、時の石に封じられた記憶を、あなたに戻します!

ルーチェはそう言うが早いか、手にした時の石を頭上に掲げた。

刹那、時が止まった。
あらゆる時間と空間が一瞬だけその形を変えた。

ルーチェには何が起きたのか理解できなかった。
いや、「理解する」という概念すら与えられない、ほんの一瞬の時の歪みであった。

ただ一つ、理解できたことは…。

■ルーチェ : 石が……砕け散ってしまいましたが…。
この光は…?
■オリアクス : ぐ…ううぅ…
■ルーチェ : …オリアクス?
■オリアクス : …………………

…ただ一つ理解できたことは、目の前にいる男が帰って来たということ。

長い長い混沌から、帰って来たということだけだった。
*
■オリアクス : …む…ここは…?
…お前は…ルー…チェ…。
■ルーチェ : あなた様?
…自分が誰だか、お分かりになりますか?
■オリアクス : 準 備 は い い か ぁー!

………痛ッ! 頭がクラクラする…。 何やら、長い夢を観ていたようだ…。
霧の世界に閉じ込められたような…、そんな不確かな世界を歩いていた…。
たった独りで…、終わりのない旅を…。

それに俺は…、あの時…、イーゴ様に我が身を…、捧げたはずだが…。
■ルーチェ : 良いのです、オリアクス。
今はまだ、考えなくとも…。
■オリアクス : どうやら、貴様に助けられたようだな。
……まったく、余計なことをする。
■ルーチェ : まあっ…なんと無礼な…。
別に、あなた様を助けたかった訳ではございません!
私は、ただ…あの少年…ユンの願いに、応じたまでのことです!
■オリアクス : ユン…。
あいつは、あいつの望む通りに、生きることができたのだろうか…。
■ルーチェ : ……少なくとも私は、あの少年が【 人 】としての尊い時を、確かに生き抜いたのだと信じています。
■オリアクス : そうか…そうだな。
俺も、そう信じるとしよう。

だが…元々、ユンは俺の舎弟だ。お前に心配してもらう必要など無い。
■ルーチェ : …やはり、あなた様とは相容れないようですわね。
■オリアクス : それはこちらの台詞だ。
偽善者どもとは、いずれケリをつけねばならん。
…覚悟しておくが良い!
■ルーチェ : あなた様こそ、その首を、充分に綺麗にしておいてくださいまし!
■ミスト : ルーチェ、およしなさい。
そこの黒い異教徒も、黙るのです。
このような危険な場所で、言い争いなどしている場合ではありません。
■オリアクス : !?
■ルーチェ : !!
■ミスト : ルーチェ。
邪教の者のためといえども、あなたの勇気ある行動は立派なものでした。
この男を復活させた結果がどう出るか、私にも分かりません。
ですが、いかなる者であれ、命あるところには、わずかなりとも希望は生まれてくるでしょう。

…さあ、私たちの時代に戻りましょう。

すべての者に、ラル・ファク神のご加護があらんことを。

ラル・ファク、イルファッシーナ。
■オリアクス : 勝手に、お前たちの神の加護を祈るんじゃない!
この俺様には…マブ神の…イーゴ様の…。
■ルーチェ : どうしました?
急に、顔色が悪くなったようですが…。
■オリアクス : …いや、何でもない。

オリアクスは触手に蝕まれたかつてのイルミナ城に目をやった。

そしてすぐに、冒険者達に向き直る。

■オリアクス : さぁて、お前達!
準備はいいかー!

そこにいるお前たち!
疲れた顔しやがって。ずいぶんと迷惑かけちまったみたいだな…。
だが、お陰で助かったぞッ!俺は、もう一度だけ【俺の人生】を生きられそうだ…。
こんな所に居ても、未来は開けんッ!
さぁ、俺たちの時代へ戻るぞッ!
■ルーチェ : …まぁ!元通りになって嬉しいのか、哀しいのか。分かりませんわ。
ともかく、決着がつくまでは、死んでもらう訳にはいきませんものね。
■オリアクス : ん? ルーチェよ、何か言ったか?
■ルーチェ : …いいえ! 何でもございません!
■オリアクス : まぁいい。
…それじゃお前達、とっとと帰るぞ!!

ミスト、ルーチェ、オリアクス…。
それぞれがそれぞれに、ある種の不安を抱いていた。

…だが。

今はひとときそれを忘れよう。

“勇気ある冒険者達に感謝を――。”

それだけが、今の3人の共通した想いであった。
*
*
*
*
*
■イーゴ : これが…時の石のかけらか…。
これがあれば、時の石を再生することができる…これさえあれば…。

■この時侵攻していたイベント内容■

・06.16 20:10〜
現在、【 セイクリッド・キャノン 】は調整を完了し、聖なる槍【 セイクリッド・ブラスト 】の発動に必要なマナを充填しています。
しかし、それを知ったイーゴは【 セイクリッド・キャノン 】を破壊すべく、カオスゲートを開いてしまいました。

【 イプス雪原 】のカオスゲートから【 浮遊都市バハ 】に向け、モンスターが押し寄せています。
【 セイクリッド・キャノン 】が破壊されぬよう、守りきってください。

・06.17 20:10〜
各地を放浪していたオリアクスは、かすかな記憶を頼りに【 浮遊都市バハ 】へたどり着きました。
そして、聖なる槍【 セイクリッド・キャノン 】にマナが満たされ、発射準備が完了したそのとき、再びイーゴが登場し、
強力なモンスターを呼び寄せ始めました。

モンスターの持つ強大な魔力が【 セイクリッド・ブラスト 】の発動を妨げています。
一体でも多くのモンスターを排除し、その発動を助けてください。

・6/16の【 セイクリッド・キャノン 】防衛結果が発表されました。

DIAMOND・PEARL・EMERALDの全サーバがモンスターのせん滅に成功。
【 セイクリッド・キャノン 】の防衛に成功しました。